ニュース&コラム | 2020-06-30

【業界レポート】ビジネスアナリスト注目の農業ベンチャー

シェア

2050年までに世界人口は100億人に達すると言われています。人口増加に伴う食糧問題を解決するには、農家が生産する食糧は70%増加しなければなりません。

しかし、人口増加とともに気候変動・自然災害の頻度も増加し、農家の生産量は増えるどころか減少すると言われています。既に、農作物の生産に不可欠な淡水と栄養豊富な土地が不足しはじめ、農家を取り巻く環境は年々厳しくなっています

世界的な食糧問題が現実のものとなりつつある中、食品廃棄に対する意識は世界的に見ても低く、生産された食物の内33~50%は、食べられることなく廃棄されているのが現実です。今のペースのままでは、そう遠くない未来、8億人が慢性的な飢餓に直面するでしょう。

2020年の農業とトレンドのイノベーションに関するZuvaの業界レポートでは、新しいアグテックと主要な農業ベンチャー企業の市場動向を紹介し、資源を確保し食料問題を解決するための方法を模索しています。

今回は業界レポートの中から、Zuvaのビジネスアナリストが注目する企業を4つご紹介します!

食料と農業問題の緊急性に気づいた農業ベンチャー企業は、より多くの食料を、効率的に生産することを実現しました。農業ベンチャー企業の中でも、注目すべき企業を見ていきましょう。

【注目の農業ベンチャー企業】Taranis

Taranisは、テクノロジーを活用し、データに基づき効率的に農作物を生産するためのプラットフォームを提供する農業ベンチャー企業です。

Taranisは、ドローンを使って農場全体を監視します。ドローンの撮影により得られたデータは、高度なコンピュータビジョン、データサイエンス、ディープラーニングアルゴリズムにより分析され、農場に問題が起きていないか、常にチェックできます。

最先端のテクノロジーを掛け合わせたソリューションにより、作物の状態を徹底管理。異変の兆候をすぐに発見できます。雑草や虫の発生状況、農作物の疾患や栄養素不足など、あらゆる問題を早期発見し、データに基づき対策を立てることが可能です。

既にTaranisは、アルゼンチン、ブラジル、ロシア、ウクライナ、アメリカで、合計数百万エーカーの農地を監視・管理しています。問題を早期発見・解決することで、農作物の収穫量を増やすことが可能です。さらに、コストを削減するためのツールの提供も行っており、農家の運営を総合的にサポートしています。

農家の運営を助ける総合的なソリューションを提供するTaranisは、農業全体を守る、農業ベンチャー企業と言えます。

主要拠点:イスラエル
設立:2014年
推定従業員数:50名
資金調達額:0.3億$

Taranisの詳細情報

【注目の農業ベンチャー企業】Ynsect

Ynsectは、昆虫を原材料とする、新しい飼料・肥糧を生産する農業ベンチャー企業です。農業食品と環境バイオテクノロジーの分野で、革新的な製品とサービスを提供する企業として注目されています。

Ynsectは、昆虫の持つ栄養素と行動に注目し、クライアントと協力しながら、新しい製品とサービスを開発し続けています。大規模な昆虫養殖と、昆虫を飼料・肥糧として自動生産するプロセスにより、昆虫の豊富な栄養素を持つ新しいアグリフードを、効率的に生産することに成功しました。

Ynsectの昆虫養殖は、省スペースでの大規模養殖が可能な、垂直農場で行われます。昆虫を原料とした飼料・肥糧製造に関する25の特許を取得しており、栄養豊富な昆虫を育成することが可能です。昆虫のタンパク質を最大にし、抽出するハイエンド技術により、栄養豊富で安全な飼料・肥糧を生産します。

Ynsectは、人口増加に伴う食糧問題に、新しい飼料・肥糧でアプローチする、農業ベンチャー企業です。

主要拠点:フランス
設立:2011年
推定従業員数:100名
資金調達額:$1.7億

Ynsectの詳細情報

【注目の農業ベンチャー企業】Plenty

Plentyは、垂直農場により、少ない水と土地で大量の野菜や果物を生産することに成功した、農業ベンチャー企業です。オーガニックな生産方法により、健康的で美味しく食べられる農作物を生産します。

Plentyでは、垂直農場による効率的な育成方法で、農作物を大量生産しています。農作物の育成を徹底的に効率化することで、農薬や合成肥料、遺伝子組み替えを用いることなく、農作物を大量生産することが可能となりました。

Plentyでは、従来の1%未満の土地と、5%未満の水で、農作物を生産しています。屋内の垂直農場で農作物を育てるので、天候の影響を受けることもありません。無農薬なので、収穫後の洗浄も不要です。

さらに、生産した農作物の輸送も徹底的に効率化しており、長距離輸送を排除しています。輸送距離を短くすることで、排気ガスの排出量を減らし、農作物が新鮮なうちに、消費者へと届けられます。

オーガニックで効率的な生産・輸送方法に徹底的にこだわることで、健康的で美味しい農作物を、より多くの人に提供することが可能です。

Plentyは、限られた土地と資源を最大限に活用することで、高品質の農作物を大量生産する農業ベンチャー企業です

Plenty
主要拠点:アメリカ
設立:2014年
推定従業員数:100名
資金調達額:$2.2億

Plentyの詳細情報

【注目の農業ベンチャー企業】UMITRON

UMITRONは、水産養殖を持続させるためのデータを提供する、農業ベンチャー企業です。水産養殖の業者に対してデータを提供。データを分析することで、水産養殖の生産性を高めることが可能です。

水産養殖における最大の課題は、魚にとって消化しやすい餌を与え、摂食を促進することと言えます。UMITRONのソリューションでは、魚の行動分析と水質データを使い、最適な量の餌を適切なタイミングで与えることが可能です。

魚の摂食を促進するために、UMITRONではIoTや機械学習、衛星センシングなど、さまざまなテクノロジーを活用しています。最先端のテクノロジーを活用し、正確にデータを集めることで、豊富なタンパク質を持つ魚を効率的に育てられる水産養殖が実現しました。

UMITRONのミッションは、「地球に持続可能な水産養殖を設置する」ことです。UMITRONは、水産養殖の効率を高めることで、水産養殖と地球の海を守る農業ベンチャー企業です。

主要拠点:シンガポール
設立:2016年
推定従業員数:-
資金調達額:0.1億$

UMITRONの詳細情報

農業ベンチャー企業は、テクノロジーを活用し農業を効率化している

農業専門のクラウドファンディングサイト「AgFunder」の最新のレポートは、2020年にスポットライトを浴びるであろうテクノロジーとして、農業バイオテクノロジーを予測しています。

動植物の一部を変更する繁殖技術や、特定の農業用途に適した微生物を開発するのが、農業バイオテクノロジーです。農産物や養殖の動物をより早く、より栄養価の高い状態に成長させる技術として注目を集めています。

しかし、本記事を読めばわかるように、遺伝子組み替えやバイオテクノロジーを使用することなく、農産物や養殖の効率化に成功している農業ベンチャー企業も多くあります。徹底したデータ分析や技術開発により、農業はさらに効率化されていくでしょう。

今後の農業市場では、どのようなテクノロジーが活用され、人口増加に伴う食糧問題にどう立ち向かっていくのか。農業ベンチャー企業の動向から目が離せません。