世界の投資家たちは、ハイテクIT業界とB2Cサービス産業に集中しています。中でも、生涯にわたる平等な教育を提供する、オンライン教育の分野に、企業や投資家の注目が集まっています。
ARやVR、インターネットの発展とモバイル端末の充実により、オンライン教育市場は、拡大する一方です。
過去10年間のオンライン教育市場は、オフラインのコンテンツをオンラインプラットフォームに持ち込むことを目的としたものでした。
新しいトレンドでは、ARやVR、AIなどの技術を活用し、より高品質な教育コンテンツを作成し、学習そのものを効果的にすることに向かっています。
2019年の教育×テクノロジーに関するZuvaアナリストの業界レポートは、オンライン教育業界における市場と投資家の動向に注視して作成しました。世界中の投資家たちの動向から、今後のスタートアップ企業の活動を分析します。
Zuvaの業界レポート「Education x Technology in 2019」では、オンライン教育市場でのトレンドや、活用されているテクノロジー、投資活動に関する基本的な背景知識を把握できます。オンライン教育に関する基礎知識からトレンドまでを網羅しているので、下記URLからぜひダウンロードしてください。
オンライン教育市場の投資動向
Zuvaの分析によると、教育に対するベンチャーキャピタルの投資は、14億$を記録したという結果が出ています。高いテクノロジーをオンライン教育に採用するスタートアップ企業の資金調達総額は、約34億$に上りました。
2017年のオンライン教育業界の資金調達総額は約17億であり、前年と比べると、業界全体で2倍近くの資金調達に成功しているとわかりました。
オンライン教育市場の世界動向
グローバル教育フォーラム「Reimagine Education」の報告によると、オンライン教育スタートアップ企業への投資はアメリカが全体の約60%を占めていることがわかりました。しかし、中国やインドからの投資やスタートアップ企業も急激に増加しており、アメリカやヨーロッパに追いつきつつあります。
資金調達額の多い企業を上から順番に10社見ていくと、中国は4社、インドは1社、アメリカは5社となっています。
最先端技術の開発、スタートアップ企業の活動の大きい中国で、オンライン教育は特に注目されていることが見えてきました。
オンライン教育市場の注目テクノロジー
2019年のオンライン教育業界では、VR・AR・AIがテクノロジーのトレンドとなると見られています。
ソリューショントレンドはより具体的にカテゴライズ可能であり、オンラインによる家庭教師やメンタリングにも注目が集まっています。
また、学生ローンや学習の管理システムに関するソリューションの提供も増加し、学生だけでなく企業を対象としたものも多いです。
今後は、スマートラーニングマネジメントシステムと企業学習プラットフォームにオンライン学習を採用するスタートアップ企業が、急成長を遂げると期待されています。
オンライン教育市場で注目されるスタートアップ企業6社
今回は業界レポートの中から、Zuvaのビジネスアナリストが注目する企業を6つご紹介します!
【オンライン教育市場の注目企業】
- BYJU’S
- Degreed
- Vedantu
- OpenSesame
- Amira Learning
テクノロジーを活用してより良いオンライン教育の環境構築に力を入れる企業や、子供向けではなく、ビジネスマン向けのオンライン教育に力を入れる企業など、さまざまな起業があります。
BYJU’S
BYJU’Sは、インドで最も利用されている学習アプリを提供するオンライン教育企業です。学生に向けたオンライン教育として、50,000以上のコンテンツを提供しています。
アプリを通して視覚的に学習を進められるコンテンツが多く、ビデオ形式のものだけでなく、ゲーム形式のものやインタラクティブレッスンなども充実しています。
学生一人ひとりに最適なオンライン学習を提供することをミッションとしており、学生のニーズと学習スピードに基づき、学習マップを作成することも可能です。
2019年6月には、ディズニーとコラボした早期学習アプリを発売。2019年7月時点で、約100万人もの学生がBYJU’Sのアプリに登録している、今後も成長が見込まれるオンライン教育企業です。
BYJU’S
主要拠点:インド
設立:2011年
推定従業員数:5,000名
資金調達額:14億$
Degreed
Degreedは、主に企業向けにオンライン教育プラットフォームを提供する企業です。ビジネススキルからさまざまな専門知識まで、幅広い分野のオンライン教育が可能な、生涯学習プラットフォームを提供しています。
学習管理システムの提供も行うDegreedのプラットフォームからは、自社で提供するオンライン教育コンテンツだけでなく、他社のオンライン教育コンテンツを管理することも可能です。
ユーザーは、Degreedの学習管理システムの記録を使い、現在のスキルを評価したり改善点を特定したりと、将来的な学習計画を立てられます。
Degreed
主要拠点:アメリカ
設立:2012年
推定従業員数:250名
資金調達額:1.5億$
Vedantu
Vedantuは、家庭教師による1対1のオンラインライブにより、パーソナライズされたオンライン教育を提供する企業です。
Vedantuのプラットフォームに家庭教師と生徒を集め、インタラクティブなオンライン教育を可能にしています。生徒はVedantuの巨大プールの中から、自分に合った家庭教師を選択することが可能です。家庭教師はオーディオやビデオ技術だけでなく、ホワイトボードなども活用し、生徒の理解を促しながらオンライン教育を進めていきます。
Vedantuは、まるで家庭教師と対面しているかのようなオンライン教育を可能にする技術ツールを保有しており、ほかにも低帯域幅の条件に最適化された社内製品を作成することで、より多くの人々にオンライン教育の提供することを可能にしました。
Vedantu
主要拠点:インド
設立:2011年
推定従業員数:500名
資金調達額:0.9億$
ClassDojo
ClassDojoは、オンライン上に教室コミュニティを構築する、コミュニケーションプラットフォームを提供しています。
教師と保護者、生徒のコミュニケーションプラットフォームとして、学校や家庭で何が起こっているか、写真やビデオ、メッセージを使って共有します。生徒と教師のつながりの中に保護者が加わることで、より肯定的なコミュニケーションと教育方法を模索することが可能です。
ClassDojoのミッションは、地球上のすべての子供たちがが、より良い教育を受けられるようにすることです。
ClassDojo
主要拠点:アメリカ
設立:2011年
推定従業員数:10名
資金調達額:0.6億$
OpenSesame
OpenSesameは、企業向けにオンライントレーニングコースを提供する企業です。
20,000以上のオンライン教育コースを、eラーニング形式で提供しています。ユーザーは、検索機能や学習マップを使って、包括的にオンライン教育コースを探せます。
オンライン教育コースの拡充だけでなく、利便性の向上やトレーニングプログラムの改善など、より良い環境でオンライン教育を提供することに力を入れている企業です。
OpenSesame
主要拠点:アメリカ
設立:2011年
推定従業員数:50名
資金調達額:0.4億$
Amira Learning
Amira Learningは、幼い子供たちに読書の機会を、オンライン教育で提供しています。
AIと音声検出により、子供たちそれぞれに適した物語を勧め、子供たちの音読を通して、どのように物語を読んだのかを評価します。物語への読解力や、エラー分析による長所と短所の発見などが可能です。
最先端の音声認識とカーネギーメロン大学の20年間のAI研究を通じて、Amira Learningは、子供たちの読書の習得を加速します。
Amira Learning
主要拠点:アメリカ
設立:2018年
推定従業員数:10名
資金調達額:0.08億$
オンライン教育市場では、教育環境を整えるテクノロジーが注目されている
世界のオンライン教育企業の動向から、オンライン教育は子供たちだけでなく、ビジネスマンをはじめとした大人にもニーズが広まっているとわかりました。
中国やインドもオンライン教育に力を入れており、資金調達額の上位10社のうち、アメリカ企業の占める割合は今や半数になっています。
オンライン教育の内容だけでなく、テクノロジーを活用してより良い学習環境を構築することに力を入れる企業も多いです。
今後もさまざまなテクノロジーが活用され、発展を遂げていくであろうオンライン教育市場から、目が離せません。