ニュース&コラム | 2020-04-30

【日本もこうなる?】新型コロナ渦中の中国、最新の投資状況

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3日前に外出規制が緩和されたばかりの中国深センから、現地のスタートアップ副社長である那小川さんに中国のスタートアップ投資状況を解説して頂く。

『中国の今を知ることで、日本の未来がわかる』
コロナの影響しても、スタートアップにしても、このようなことが言えるのではないでしょうか。

ゲストプロフィール

那小川 (Na Xiaochuan)
Zuva中国事業 首席顧問、トランスキャピタル創業パートナー
東京大学 情報理工学研究科 修士卒。
Mensa。CFA(チャーターホルダー)。
中国自動運転スタートアップRoadstar.ai.戦略責任者。
China Renaissance投資ディレクター。
DeNA China戦略アナリスト。
ローランドベルガー東京オフィスコンサルタント。

中国ベンチャー企業の増資を数十社(合計200億円超)。自動運転スタートアップ副社長。現在は日中のベンチャービジネス関連コンサルタントとしても活躍している。

この記事は、YouTube動画の書き起こし記事です。

新型コロナのピークを超えた?現在の中国・深センの状況

佐々木真奈美氏(以下、佐々木)
今回はZUVA株式会社の櫻井さん、中国事業首席顧問の那さんをゲストにお迎えして、中国より中継を繋いで、最新情報を交えてお伝えします。

ではまず那さん、最近の深センの状況を教えてください。

那小川氏(以下、那)
はい、こちら那です。今深センにいます。深センは3日前から政府から公共の場所での活動を許可するという公文が出ました。なので深センでは、流石に映画館はまだなんですけれども、レストランや図書館などが開放されている場所が多いです。

統計データがあるわけではないので、感覚でいうと7割くらいは既にオープンになっている感じですね。レストランなどに行くと、人数はまだ少ない方なんですが、政府からは大体1メートル以上の間隔を開けるようにと指導がされているので、皆テーブルを一つ空けて座っているようなイメージです。

櫻井崇之氏(以下、櫻井)
なるほど、ちなみに省をまたぐ旅行や出張はまだできないんですか。

アリババ開発の健康識別QRコードが活躍


それは公共の場所に行くのと同じで、分からないというのが実態なんです。国としてはアリババのサポートもあって、国統一の健康識別QRコードのようなものがあるんです。キャリアからデータを貰って、対象者(の持っている携帯電話)がちゃんと14日間深センにいたということが証明できるんです。例えば北京でその健康識別QRコードを人に見せると、この人は問題がないというようなことが分かるようにはなっています。

ただ実際は地方によっては(健康確認の)やり方が違います。例えば私も、一時期別の都市に行こうとしたことがあるんですけど、そこでホテルに問い合わせたら深センから来た人は理由不問で14日間の集中隔離が課されますと言われました。

だから現在の中国の状況は分からない、行ってみないと分からないです。

佐々木
なるほど、皆手探り状態ということなんですね。

櫻井
日本もこれからそんな感じですね。分かりました。

スタートアップの資金調達への影響

佐々木
そして経済への影響なども心配なんですけれども、今回はですね、いよいよ世界中に広がるコロナウイルスの影響を受けて、スタートアップにも影響が出始めているというニュースをお伝えします。シリコンバレービジネスジャーナルより、一部抜粋してお届けします。

シリコンバレービジネスジャーナルによりますと、2020年第1四半期のグローバルな資金調達は、およそ770億ドルになると予測されています。これは2019年第4四半期の920億ドルと比較しておよそ16%減少、去年2019年第1四半期の870億ドルからおよそ12%減少しています。

ということで、スタートアップへの資金調達が滞る状況になってきましたよね。

櫻井
もういよいよコロナウイルスで、去年の第4四半期と今年の第1四半期を比較すると、それでも10%ちょっと減というのはまだ踏みとどまっているのかなと思っています。

ただこのデータというのは、中国を含むアジアだけを比較すると、全体の30%以上下がっているというところがありますので、コロナウイルスが始まった、中国にいる那さんに今の中国の状況をお伺いして、

中国のスタートアップに資金がどういう風に流れているのか、もしくは止まっているのか。今後ポストコロナに向けてどういう動きをしているのかという事をお聞きしたいと思います。

那さん、全世界で見ると去年の第4四半期と今年の第1四半期を比較すると、約10数%の投資の資金が減少しているんですけども、中国では状況どういう風になっているんでしょうか。

中国では投資件数が去年に比べ、60%減


中国では比較する期間の対象は、今年の2、3月と去年の2、3月が適正なのかなと思います。

そこで比較しますと、2019年の2月は投資の件数が510件、金額が475億元ほどなのですが、今年の2月は投資件数が去年の半分以下の195件、約60%のダウンになりました。そして3月になるとその現象が顕著になっていまして、去年の3月は972件の投資件数があったのに対して、今年の3月はわずか354件になっています。これは去年の35%にあたる水準です。

櫻井
そうなんですね。大幅に下がっていますね。投資金額においてもかなり下がっていんですか。


金額に関しては、下がり方が件数に比べ緩やかなんですけれども、今年の2月は去年の2月に比べ約15%の減少で、3月も同様に15%ほどの減少になっています。

佐々木
やはり、皆さん景気の先行き不安というところが大きいんですかね。


それもありますし、さらに言うとそもそも資金調達の取引を締結できていないという影響も受けているんですよ。起業家と投資家で話をして、実地調査もしなければならないのに、実地調査がコロナの影響で出来ていない訳です。

櫻井
対面で実際に会えるわけでもないですしね。

コロナ渦中でも追い風の業界とは

逆に2020年に入ってから、どのような業界が投資されているというような記録はありますか。


あります。2019年のトレンドがそのまま続くといった感じですが、グラフ上位3つの業界である医療、生産・製造、企業向けサービスです。

医療は説明する必要がないかもしれませんが、医薬、医療設備、医療とインターネットを組み合わせた新しいビジネスモデルというものが含まれます。また生産・製造というのはメーカーですね。ドローンなどです。

注目すべきは企業向けサービスです。中国国内の一大トレンドとして、特にここ3年間は非常に人気が集まっています。昔の中国はB to C、つまり消費者向けITサービスが主流だったんです。実は企業側が日本ほどにITを使っているわけではないんです。

それでこれからなんじゃないかと中国の投資会社では言われていまして、そのために企業向けソフトウェアに近い企業向けサービスへの投資が多いイメージです。

櫻井
SaaSモデルのようなハードウェアではなく、ソフトウェアの領域ということですか。


そういうことです。CRMだとかそういうものです。

このように医療・生産・製造、企業向けサービスがトップ3です。AIに関して話しますと2018年から続く傾向ですが減少しつつあります。

全体では5位なんですが企業向けサービスなどに比べると投資件数が3分の1なんです。だからAIは中国では人気が下がりつつあるようなイメージです。

櫻井
投資が一巡して2018年、2019年に結構AI向けに投資がされて、AI向けに投資が落ち着きつつあるという見方もできると思うんですがどうですか。


そういうことです。AI投資の熱が下がりつつあるのは、大体2018年の下半期から始まった傾向ですね。

アーリーステージ、レイトステージに集中する投資

さらにラウンド別でみると、現在アーリーステージとレイトステージで投資が集中しています。アーリーステージというのはAngelラウンドからSeries Aまでの投資を指し、レイトステージというのは既に上場が見えている企業への投資のことです。

なぜ、この2つに投資が集中するのかというと、リスク回避の傾向が強まった結果といえると思います。アーリーステージは、バリデーションが低いから損をする確率も比較的低いんです。そしてレイトステージはそもそも上場や買収が見えている訳なので、リターンが早く回収できるという期待から、投資が集まっています。

そして中央付近、シリーズBからシリーズDあたりは今一番資金調達が困難な局面になっています。

佐々木
なるほど、そこもやはりリスク回避したいというところがあるんですね。

櫻井
でも1番成長ドライブに資金が必要なステージの会社であるとういうことは、間違いないんですけれどもなかなかそこに上手く資金が入っていかない、もしくは入っていくためのディールのための打ち合わせができない環境であるとか、そういうところが全世界的に困っているところなのかなという感じですね。

佐々木
そうですね。ありがとうございました。

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