ニュース&コラム | 2020-04-23

世界の農業ベンチャー資金調達ランキングTOP10

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世界の農業ベンチャー企業の中から、資金調達額の多い10社を紹介します。資金調達に成功している企業から、農業分野ではどのような事業が注目されているのかが見えてきます。

近年では、垂直工場や農産物の生産における数値管理など、テクノロジーを活用した生産者も多いです。生産者を支える農業機械や、業界全体へのソリューションを提供する企業も、資金調達に成功しています。

本記事を読めば、世界における農業分野で注目を集めるテクノロジーと、業界のニーズがわかります。

※2020年4月15日地点の累計資金調達金額のランキングです

農業ベンチャー企業10位「infarm」

infarmは、都市内での自給自足と、農業とテクノロジーの融合が特徴の、農業ベンチャー企業です。バジルやレッドロメインなど、主に葉物野菜を生産しています。

infarmが農業に取り入れているテクノロジーは、IoTと機械学習です。日ごとの生産量を管理するのと同時に、節水量や土地の活用度合いを、すべて数値で管理。それぞれの数値を記録するだけでなく、蓄積したデータから、1日単位で未来の生産数や節水量を予測します。

自給自足へのこだわりも、infarmの特徴です。土地を効率的に活用できる垂直型農場を、都市全体に配置しています。モジュール式の農場配置により、消費者に新鮮な野菜を届けるだけでなく、運送コストの削減が可能です。

主要拠点:ドイツ
設立:2013年
推定従業員数:250名
資金調達額:$1.3億

農業ベンチャー企業9位「Devenish Nutrition」

Devenish Nutritionは、農業と食品の業界全体に対してソリューションを提供する企業です。Devenish Nutritionのソリューションは、進行する人口増加の中でも、食糧生産を持続可能とするためのものです。

国連によると、世界人口は2050年まで97億人に達する予測されています。「土壌から社会まで」をコンセプトに、土壌や畜産飼料の栄養価を高め、食糧生産のパフォーマンスを高めることで、生産者を支援します。

自社でも商業農場を持ち、生産する食糧や飼料を科学的に分析。分析結果を公開し、持続可能性や収益性を評価しながら、業界全体にソリューションを提供しています。

主要拠点:北アイルランド
設立:1952年
推定従業員数:250名
資金調達額:$1.3億

農業ベンチャー企業8位「Puris」

Purisは、有機原料と非GMO(遺伝子組換え作物)植物原料から、動物性タンパク質の代わりとなる食糧を開発する企業です。

Purisが開発するのは、オーガニックのエンドウ豆や大豆、トウモロコシを用いた、持続可能な食糧です。動物性タンパク質の代替品として、植物ベースの食糧を開発することで、人口増加が進んでも美味しくタンパク質を摂取することが可能となります。

使用される原料はオーガニックなもの、非GMOのものなので安心です。さらに、植物性タンパク質の豊富な食糧を大豆を使わずに生産することで、アレルギーにも対応しています。Purisは誰にとっても安全で、栄養価の高い、未来の食糧を生産する企業です。

主要拠点:アメリカ
設立:1985名
推定従業員数:50名
資金調達額:$1.3億

農業ベンチャー企業7位「ESCORTS」

ESCORTSは、70年に渡りインドの農業と建築を支えてきた、エンジニアリング企業です。農業分野においては、トラクターを主とした農業機械の開発を続けてきました。

インドの農家に適したトラクターを特別に設計し、インドの農業を支えています。強いパワーを発揮しながらも燃料効率の高いトラクターを開発することで、インドの農業の効率化に貢献。腐食に強いパーツを開発し、自社トラクターのスペアパーツを揃えておくことで、トラクター1台の寿命を最大限に延ばします。

さらに、インドで蓄積したノウハウを基に、世界62ヵ国に向けてトラクターを提供。自社製品を提供した国が、自給自足できるようにと、頑丈でパワフルなトラクターを開発し続けています。

主要拠点:インド
設立:1960年
推定従業員数:5,000名
資金調達額:$1.3億

農業ベンチャー企業6位「Wangjiahuan」

Wangjiahuanは、農産物の生産からケータリングまで、食品の生産から消費までを提供している企業です。安全で栄養バランスの取れた食品の提供を、重視しています。

Wangjiahuanは、各地域の農業局と協力し、中国全土で20万エーカーもの無公害の植栽基地を保有。安全で高品質な野菜を、苗床から育てて収穫し、加工や物流も自社で行います。収穫した野菜は、1℃~4℃のコールドチェーン内で加工し、新鮮さを確保。厳しい基準の下で出荷検査を行い、自社で各提供先まで運送することで、コストを抑えています。

Wangjiahuanのケータリング先は、学校や病院、大企業の工場など、大規模施設が主です。ケータリング先のニーズに合わせて、栄養価の高い食事やエネルギー豊富な食事を提供しています。

主要拠点:中国
設立:1995年
推定従業員数:5,000名
資金調達額:$1.4億

農業ベンチャー企業5位「Ninjacart」

Ninjacartは、農産物の仕入れから出荷までを担うサプライチェーンです。農産物に関わる、すべての農家・小売店・消費者に、高い価値を提供しています。

Ninjacartでは、農家から仕入れた農産物を12時間以内に取引先の企業に配送することで、より新鮮な農産物の提供が可能です。大量の農産物を迅速に配送することで、農家の収益は20%増加。仲介業者を間に挟まないため、小売店は農産物を安価で仕入れられます。消費者は、それぞれの小売店から、収穫して間もない新鮮な農産物を購入可能です。

Ninjacartは、農産物に関わるすべての人に価値を提供することで、インドの農業を支えています。

主要拠点:インド
設立:2015年
推定従業員数:1,000名
資金調達額:$1.6億

農業ベンチャー企業4位「Ynsect」

Ynsectは、昆虫を利用した革新的な飼料・肥糧を生産する企業です。効率的な昆虫養殖と、自動化された生産プロセスで、養殖用・植物用・ペット用の飼料・肥糧を提供しています。

Ynsectでは、昆虫を垂直農場で養殖することで、多くの昆虫を効率的に養殖しています。幼虫の処理には化学薬品を使わず、成長した昆虫には最適な環境下で天然の飼料を与えることで、飼料・肥糧用の栄養価の高い昆虫を育成。最新のテクノロジーによる自動化プロセスが、それぞれの工程で、最適な環境下での昆虫の育成を可能としています。

昆虫の育成から、飼料や肥糧へ加工するまで、Ynsectでは、化学薬品は一切使いません。一貫したオーガニックな生産工程により、栄養価が高く安全な飼料・肥糧を生産する企業です。

主要拠点:フランス
設立:2011年
推定従業員数:100名
資金調達額:$1.7億

農業ベンチャー企業3位「plenty」

plentyは、農薬や合成肥料を使わずに野菜と果物を生産する企業です。オーガニックで効率的な生産方法により、健康的な食品を多くの人に提供しています。

無農薬で遺伝子組換えのない作物を、効率的に栽培するのが、plentyの特徴です。土地を有効活用できる屋内の垂直工場は、植物にとって最適な環境となるよう構築されています。すべての作物を屋内で栽培するため、天候の影響を受けずに安定的な作物の生産が可能です。農薬も合成肥料も使わないので、収穫後の洗浄も必要ありません。

それぞれの植物を最適な環境下で育成することで、味が良く、栄養価も高い作物を栽培できます。plentyは、限られた土地と資源を有効活用し、品質の高い野菜と果物を提供する企業です。

主要拠点:アメリカ
設立:2014年
推定従業員数:100名
資金調達額:$2.2億

農業ベンチャー企業2位「La Coopfédérée」

La Coopfédéréeは、1922年に設立され、カナダの約70の協同組合が集まる、農業食品連合です。アグリビジネス・食品・小売の3部門を軸に、事業を展開しています。

アグリビジネスでは、農業に関する最先端の知識と技術を集約し、生産者と地域の農業コミュニティの繁栄を支えています。農産物の加工から流通までを担う食品部門では、高品質な食品を、世界中に提供。農業に必要な肥料や設備を扱うのが、小売部門です。

La Coopfédéréeはカナダの農業の発展を支える、大規模な生産者のコミュニティです。2022年には設立100周年を迎え、今後も規模を拡大していくでしょう。

主要拠点:カナダ
設立:1922年
推定従業員数:500名
資金調達額:$2.2億

農業ベンチャー企業1位「Indigo AG」

Indigo AGは、生産者・小売・消費者、それぞれのニーズに応えるサービスを提供する企業です。

生産者には、微生物の処理や再生システムの最適化を提供し、効率的に多くの作物を生産するためのサポートをします。生産を効率化するためのテクノロジーの提供はもちろん、販売をサポートするツールも提供。販路を拡大し、価格交渉の負担を削減します。

生産者にとっての販売サポートツールは、小売にとっては自社のニーズに合った生産者を見つけるためのツールです。販売ツールにより、生産者と小売の利益を最大化されます。消費者がオーガニックで安全な農産物を探し、必要な量を確保できるように、Indigo AGは生産者の提供するすべての作物の、追跡調査を可能にしました。

Indigo AGは、農産物に関わるすべての人のニーズを満たす企業です。

主要拠点:アメリカ
設立:2014年
推定従業員数:100名
資金調達額:$8.0億

農業ベンチャー企業の資金調達額から、テクノロジーへの注目がわかる

世界の農業ベンチャー企業を見ていくと、高品質な農産物を、効率的に生産するためのテクノロジーへの注目がわかります。垂直工場や環境の最適化により、農産物の生産そのものの高品質化・効率化に成功した企業だけでなく、生産者を支えるテクノロジーを扱う企業も、資金調達に成功しているからです。農業分野に参入するのであれば、生産者以外にもさまざまな選択肢があることがわかります。
国土の広い中国やアメリカ、ヨーロッパ諸国ではこういった農業ベンチャー企業が成長を遂げています。今後もどういった革新が起きるか注目です。