ニュース&コラム | 2020-03-06

ハイエンド向けATS(注1)カスタマイズベンチャーの「ivva」(注2)はシリーズA+で1000万人民元を調達

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注1:ATSとは、採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)。採用に関する業務を一元化することで採用を効率的に進めることのできるシステム。
注2:「ivva」中国正式会社名:深圳市爱挖网络科技有限公司 2014-07-30設立

億欧網 2020-03-03

億欧網が3月3日に入手した情報では、「ivva」が1000万人民元(約1.5億円)のシリーズA+投資をSinoAsiaCapital(投資ファンド)から受けた。「ivva」は2014年に設立し、AIによるリクルートソリューションを開発。これまでに、エンジェルン投資家の王剛やQifuVC、日本のリクルートなどの投資を受けている。「ivva」創業者のPatrickが言うに、この度の新規調達は人材採用と製品開発に使うとのこと。
「ivva」はHR SaaS市場の切口や、競争力について、億欧網と「ivva」創業者Patrick(郭宏成)が対談形式にて答えている。

奇をてらうハイエンド向けカスタマイズ戦略で、勝利を得る

「ivva」は5000人以上規模の中堅・大手企業向けに、カスタマイズしたスマートリクルートマネジメントシステムを提供。「「ivva」はかなり奇をてらう戦略を取っており、非常に狭い業界を選んでいる」
業界が狭いのみならず、システムインテグレーションを行うためには、中立の立場を保たなくてはいけない。これが理由で、業界に入ってくるスタートアップがかなり少なかった。
「我々はZARAやH&Mではなく、テーラーメイドの贅沢品だ」。Patrickから見れば、「ivva」の特徴はハイエンド向けカスタマイズサービスである。
使用シーンによって、「ivva」はその製品ラインアップを新卒採用、社会人採用、ブルーカラー採用に分けており、シーンに応じたリクルートプロセスをデザイン。現在「ivva」の主な顧客はSF Expressの社会人採用で、ハイエンド向けの立ち位置が垣間見える。
Patrickからすれば、ハイエンド向けにも優位性がある。まず第一に、競争の激しい業界を避けられること。次に、中堅から大手企業にサービスを提供することで、安定した収入・キャッシュが期待できる。さらに、大手企業向けのサービスは、製品のスケールアップメリットを活かせる。SF Expressには数百人の人事担当者がいるが、莫大な履歴書データベースがあるため、システムが最大な効果を発揮できる。
長期的な視点で、大手顧客の事例は「ivva」が今後業界領域を広げる際にも役立つ。大手顧客向けの製品は、もちろん中小企業にも適用可能なのだ。それと同時に、大手顧客向けのカスタマイズをしているうちに、「ivva」には技術力と業界ノウハウが蓄積されていく。

HR(人事)には時間を有意義に使ってもらう

「ivva」はリクルートプロセスにおける情報収集、プロセス管理、データ蓄積の3つのステップにおいて、サービスを提供している。
情報収集のステップで、「ivva」はインターネットから履歴書の自動検索、収集を行う。プロセス管理は内部OAシステムに似ており、面接アレンジメントや、許認可などの機能を備えている。データ蓄積では、「ivva」は顧客が持つ履歴書を一元管理し、データベースに落とし込み、これで新しいニーズが出てきたときに、自社データベースから人材にアクセスできる。
Patrickの紹介によれば、現在多くのサプライヤーが情報収集やプロセス管理の製品を出しており、機能は似通っている。それを受けて、「ivva」はデータ蓄積に重きを置いている。「ivva」は多くの大手顧客にデータベースを作り、高い評価を受けている。
具体的に言うと、データ蓄積は自動仕分けと履歴書アップデート機能が必要で、業界では人手によるフォルダ操作がメインであったため、非常に不便であった。
しかし、「ivva」の製品では、ラベル自動認識や自動仕分けが可能である。履歴書のアップデートも重要な機能で、「ivva」は顧客向けにソースコードツールを提供し、顧客が自ら履歴書をもらうチャネルに接続し、自社人材データベースの履歴書を最新バージョンにアップデートが可能である。
「「ivva」製品のコアバリューは履歴書の管理を効率化すること」。Patrickが言うには、HR(人事)によるコミュニケーションは必要不可欠で、自社製品は人件費節約効果などを一切唱えず、HRの履歴書検索時間を短縮し、候補者とのコミュニケーションに時間を使ってほしいそうだ。
「我々の製品で、HRは面接アレンジメントの確率を70-80%をアップさせており、時間をより有意義に使える」とPatrickが言う。

研究開発重視の姿勢で見える高精度画像・テキスト認識技術

製品のバリューは技術力によって支えられ、研究開発こそが「ivva」の最も重要な砦である。
「ivva」のコアチームはエンペリアル理工大学(Imperial College London)卒業後、IBM、SONYなどのフォーチュン500大手企業向けにリクルート管理システムを開発し、中国における8年以上のHR SaaS業界経験を持つ。Patrickの紹介によると、「ivva」は非常にR&Dを重要視しており、技術開発の投資は毎年収入の50%をも占めている。
「ivva」のコア技術は候補者とポストのマッチングと、履歴書の解析である。画像、テキスト解析自身は難しくないが、高い精度を出すには難しい。「精度が低いと、製品の機能が実現できず、ストーリーがうまく顧客に伝わらない」。深層学習の技術を活用し、「ivva」は近年技術的なブレークスルーを実現し、画像・テキスト認識の精度を大幅に向上させている。

うまいポジションニングと技術バリア以外に、フォーカスもまた「ivva」の競争力になる

億欧網がインタービューした業界専門家が言うには、HR SaaSは中国で始まったばかりで、シングルモジュールの深堀りは、より企業のニーズにマッチし、ATSにフォーカスした「ivva」に軍配が上がるそうだ。また、スタンダード製品の開発に時間をさくことがない「ivva」は、大手企業向けにバリューを提供できている。

ATS業界に期待

業界が狭いということは、市場規模が足りないのでは? Patrickはそうは思わない。彼が言うには、ATSの市場規模に期待値を寄せているくらいだ。「現在の顧客はインターネット企業が中心で、伝統企業はATSの購入がまだまだ少ない。」これは、市場浸透率が低く、将来より大きな市場が期待できるという。
長期的に見て、ハイエンド向け市場に足場を固めてから、「ivva」は中小企業にも事業を広げようとしている。ニーズの弾力性を考慮し、今後は価格競争を仕掛けることも念頭に置いている。
Patrickは「ivva」の短期的目標を70社の大手企業にサービス提供し、200-300社の中堅企業に事業を拡大。地域面では、当面、広東省に集中する予定である。
インタービューの最後に、PatrickはIouに自分の業界への見方も示している。Patrickから見れば、ウェブリクルートの効果が弱まっており、多くの人的コネクションはWeChatや、電話帳などに集約されつつある。つまり、もはや、リクルートサイトではないのだ。このトレンドに着目した「ivva」も、今後それに対応した製品改善を加えていく予定だという。

出典:QMP news