ニュース&コラム | 2020-02-12

米国でのシリーズA規模の分布

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Jason D. Rowley, February 10, 2020

ベンチャーキャピタルの場合、アルファベットで資金調達段階を表す。

無限責任組合員(GP)は有限責任組合員(LP)の資金を運用し、そのパフォーマンスは、TVPI、DPI、IRRなどで測定される。また、創業者とその資金提供者が時々低CACと高LTVについて話し合い、そして、「シードラウンド」(セマンティックモラスであり、個別に対処すべき)を除き、ラウンドはアルファベット順に名付けられ、シリーズAから、シリーズB、シリーズCが続く。
ここでシリーズAに注目してみよう。

そもそも、シリーズAとは?説明するのは難しく、少し前までは非公開会社が機関投資家から資金を調達した場合、最初に価格設定されたラウンドが「シリーズA」として定義されていた。言い換えれば、企業の価値が評価され、プロの投資家によって資金提供された最初のラウンドである。しかし現在、シードラウンドでも企業価値が設定されているは一般的になっている。そして、最近では、大半の新しいベンチャー企業は、シード段階から専門家によって評価され始めた。

ラウンドとは創業者とその支援者の同意の上でシリーズAとして定着されると、シリーズAとなる。最近、それは非常にポストモダンとなっている。

ただし、注意してほしいのは、シリーズAのサイズはある傾向を示している。Crunchbaseから取得したデータに基づき、我々は2018年から2020年1月下旬にまで米国を拠点とするスタートアップ企業によって行われた2,539件のシリーズA資金調達を分析した。調達金額(米ドル)と所在地をセグメント化し、各ラウンドサイズの取引数を示す棒グラフにした。

シリーズAラウンドの大半は900万ドル未満であり、このサンプルセットの中央値は、全国で860万ドルである。
この分布は非常に範囲が大きく、特に右側には「スーパージャイアント」のベンチャーラウンドが存在している。例えば、1億ドル以上のラウンドは32件があり、そのほとんどはバイオテクノロジー企業であった。自動運転テクノロジーの新興企業(Pony.aiなど)、iBuyer不動産会社(Ribbon と Bungalow)、自動化会社(ロボット会社Bright MachinesとロボットプロセスオートメーションショップAutomation Anywhereなど)などが含まれている。

全国的に見れば、シリーズAサイズの分布はややバイモーダルを示している。取引規模は多様であるにもかかわらず、特定値の周りにラウンドのクラスターがある。サンプリングされた取引のうち、15パーセントは400万ドルから600万ドルの間であり、約9.3パーセントは9,000,001から10,000,000ドルの範囲に分布している。

しかし、すべてのスタートアップ資金市場がシリーズAと同じ分布を示している訳ではない。シリーズAサイズのパターンは、特定市場のローカルダイナミクスを反映している。

ニューヨークに拠点を置く企業が行われた310件のシリーズAは、全国のサンプルに似ている。

ニューヨークのシリーズAの取引規模の中央値は約1,000万ドルであり、アメリカ全土での数字より少し大きくなっている。
サンフランシスコでのシリーズAの中央値(シリコンバレーやベイエリア全体ではなく、サンフランシスコ市のみ)も1,000万ドルである。

サンフランシスコとニューヨークでのラウンドサイズの分布は、ここで検討する最後の主要市場であるマサチューセッツ州ボストンとケンブリッジの複合市場よりも「先の尖った」(尖度が高いなど)ものである。

ここでは、特定の分野における業界構成の影響を確認してみる。ボストンとケンブリッジは、多くのライフサイエンスと「ディープテック」ベンチャーの拠点であり、そのすべてが実行可能な企業を構築するために多額の先行投資を必要としている。

スタートアップのシリーズAにどれだけ適しているか?

シリーズAラウンドで会社はどのくらいの資金を調達すべきか?その答えは状況によってそれぞれ違ってくるだろう。

通常は、プレシードが最小限に実行可能な製品またはサービスを世の中に生み出すためとすれば、シードラウンドが企業の製品を市場にダイヤルインするのに十分な滑走路を与えることであり、シリーズAラウンドは、スケーラブルなビジネスモデルの持続可能な発展するために資金を提供することである。

企業がどれだけの資金を調達する必要があるかは、追求しているビジネス、そのセクター、および拠点の場所によって異なる。シリーズAの場合、500万ドルあるならSaaSビジネスにとっては潤沢にあるのように感じるかもしれないが、ハードウェアスタートアップにとって、資材調達と生産コストもほとんどカバーできなくなる。また、企業はサンフランシスコなどのコストの高い地域に拠点があると、そうでない地域に拠点を置く企業よりも多くの資金を調達する必要がある。さらに、事業者は資金調達の間隔もきめなければならない。18か月後それとも24か月後、次のラウンドの時期…決断しなければならないことはたくさんある。

事実上、資金調達には「正しい」金額はない。500万ドルや1,000万ドルなどは、キャップテーブルではきれいに見え、或いはプレスにとっては良い音に聞こえるが、魔法のようなことではない。企業は、投資家と決めた一連の目標を達成するために必要なものだけを調達しなければならない。それより少ない場合、会社はきっと安定する前に資金危機に陥る恐れがあるし、またそれより余計な資金を持つと、無駄になるだろう。

出典:crunchbase news