ニュース&コラム | 2020-01-30

台湾の次世代起業家を生み出すエコシステム

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Guest Author, October 3, 2019

シリコンバレーがニュースになるような話題を多く生み出している一方で、特にアジア太平洋地域には多くのテクノロジーハブがあり、スタートアップエコシステムの構築に関して大きく進歩している。ベンチャーキャピタル、政府からの支援、改革の急増は、台湾地域の活性化と、新しい世代の起業家がグローバルステージで活躍するのを支えている。

特に台湾は、投資家がこの地域の潜在力に大きく賭け続けているため、この新しい波を歓迎している。 1980年代以来、テクノロジーが台湾の経済を牽引し、世界有数の製造拠点の1つにまで成長させた。台湾の地理的位置が功を奏し、先進的な西側経済とアジアの新興市場の間で、両方とパートナーシップを確立することが出来た。今日、台湾の市民は、最新のテクノロジーとソリューションを最初に採用することで有名だ。

Export.govによると、台湾市民の85%以上がインターネットに接続し、70%以上がスマートフォンデバイスを使用してインターネットにアクセスしており、世界で最も接続された消費者基盤を持つ国の1つとなっている。さらに、人口のかなりの部分が携帯端末を利用して商品を購入している。現在、台湾におけるオンライントランザクションの48%がモバイルベースであり、2022年までに61%に達すると予想されている。

台湾の人口2,350万人は、アジア地域の他の市場と比較すると規模が小さいが、消費者の習慣と市場の開放性が、比較的容易にオンライン市場へとナビゲートしやすい土壌をつくっている。ソフトウェア企業にとっては、台湾は、消費者が新しいサービスを受け入れるため、テストしやすい環境だ。台湾のインターネット回線速度は世界トップクラスであり、IP保護も十分に確立されており、中国との文化的類似点も多いため、より大きな市場に参入する前に、新しいアイデアを打ち出し、実験するための優れた環境でもある。

台湾は、1980年代以来、経済成長の主要な要としてハードウェアに依存しているため、ハードウェア企業に対して多くの独自性を持ち競争力のあるエンジニアリングおよびマニュファクチャリングリソースを提供している。 Quanta Computer、Compal Electronics、Pegatron、Wistron、Inventecはすべて台湾にあり、DellやAppleのようなトップブランドで販売されているものを含め、世界中で販売されているラップトップの90%以上を生産している。

強力なテクノロジータレント

台湾の労働者は教育水準が高く、技術的な知識も持ち合わせている。台湾の大学では、コンピューターサイエンスと情報システム管理を専攻した学生が年間約10,000人卒業しているため、優秀なエンジニア人材を採用しやすい。また、技術職の給与は、中国のように人材の争奪合戦まで行われているようなアジアの他の地域と比較しても、相対的に低くなっている。このサイト(https://www.forbes.com/sites/ralphjennings/2018/09/29/how-taiwan-is-becoming-a-top-destination-for-artificial-intelligence-in-asia/#4be9f75440a0)に掲載されているレポートによると、台湾では、新卒者の給与は、月額約1,084米ドル(約12万円)程度が平均的のようだ。

台湾の労働者は信頼性と信頼性に定評があり、台湾のほぼ全ての開発チームは英語や中国語(または両方)を話すことが出来る。台湾の多くのエンジニアリングチーム(約65%)は、数年のスタートアップ経験があり、プロジェクトのアウトソーシングやローカルチームとのパートナーシップを確立しようとしているテクノロジー企業にとっては非常に有利となる経験だ。

Google、IBM、Microsoftなどの世界的な大手テクノロジー企業は、すべて台湾に照準を合わせている。例えば、Googleのブログ投稿によると、同社は今年、台湾で300人以上を採用し、5,000人の学生に対して人工知能に関するトレーニングを提供することを計画している。Alibabaもまた、台湾の起業家を支援するために約3億3,200万米ドル(約360億円)のファンドを設立し、ベンチャー企業のグローバル展開と、グローバル企業の誘致を支援すると約束している。

政府からの支援の拡大

台湾政府は、起業家の育成と先端技術を用いたテクノロジー企業を支援するため、いくつかの取り組みを行っている。 2017年には、政府が、スタートアップのために33億米ドル(約3,600億円)の資金を投入し、税額控除、テクノロジー企業の土地確保、外国人人材獲得を促進する新しい法律など、整備を進めている。

台湾では、外国人起業家が起業家ビザと雇用ゴールドカードの申請をすることが可能で、より多くのグローバル人材を惹きつけるのに役立つ。 認定を受けた企業は、チームメンバーのうち最大3人までが1年間台湾に居住することができ、経営が順調であれば、さらに2年間の延長が可能だ。 外国人プロフェッショナル人材の募集と雇用に関して、税制上の優遇措置、医療、およびその他の特典を提供していることは、政府のもう1つの取り組みである。

台湾議会は、ハードウェアとマニュファクチャリング以外でも技術力の強みを構築していうために、2017年にフィンテックの新しい規制サンドボックス制度も承認した。この制度は、フィンテックスタートアップの事業構築を後押しする一方で、既存の金融サービスが直面している厳しい規制から免れるためでもある。台湾の金融サービスにおけるイノベーションは、香港やソウルなど、他のフィンテックハブと比較すると、多少出遅れてはいるものの、法律の制定により、起業家のアイディアを実現させ、他の金融サービスと協業しやすくするため多くの障壁が取り除かれている。

政府はまた、台湾をAIおよびIoT開発の中心地にすることを推進しており、その目標を達成するためにオープンデータを1つの戦略として位置付けている。 The Government Information Open Platformを使用すると、財産登録から大気情報まで、27,000にも及ぶカテゴリの政府関連データにアクセスすることが出来る。このデータへのアクセスを提供することで、台湾のAIおよびIoT企業は新しいアプリケーションをより迅速に、より正確に構築出来る。

Amazonは、2018年春に台北市に、スマート家電やウェアラブルデバイスを開発するためのイノベーションセンターを開設した最初の企業だ。より多くのIoTデバイスを導入することで、Amazonはより多くの顧客をAWSサービスに誘導したいと考えている。 Microsoftは2018年に台北にAI研究開発センターを発表し、今後5年間で少なくとも200人のエンジニアを採用する計画を立てている。台湾への関心の高まりは、GoogleとIBMが、AI研究開発センターの開設を発表したことから始まっている。

グローバルスタートアップリソース

政府によるイニシアチブ以外にも、外資のテクノロジー企業が台湾について学び、地域とのつながりを確立するのを支援するプログラムが数多くある。 Garage +、AppWorks、BNext、MOXのような世界クラスのアクセラレーターおよびインキュベータープログラムが、台湾にオフィスを開設することに関心のある国内外の技術チームにリソースとメンターシップを提供している。

さらに、Anchor Taiwan、Taiwan Startup Stadium、Center for Innovation Taipeiなどのプログラムは、外国人起業家が台湾の地域コミュニティとの関係を強化し、台湾の起業家がグローバルに展開するのを支援する。

可能性に満ちた未来

台湾の起業家は、ベンチャーキャピタルからの資金調達やグローバルからの注目度を高めることに関して、まだ多くの課題に直面している。しかし、政府の後押しとますます活発になっているスタートアップエコシステムにより、台湾の内外で事業を拡大することが容易になると同時に、台湾のテクノロジーセクターを多様化し、ハードウェアとマニュファクチャリング以外の強みが構築されようとしている。ハードウェアとマニュファクチャリングで培ってきた強みと最新のテクノロジーの進化を組み合わせることで、台湾は、より多くの人材を惹きつけ、投資の機会を増やし、イノベーションをベースとする経済を維持し続けていく。

Chih-Kai Cheng氏は、アーリーステージに投資をしているベンチャーキャピタル、Acorn Pacific Venturesのパートナーであり、北米およびアジアのグローバルテクノロジー戦略に重点を置いている。 Chih-Kai氏は、台湾科学省の顧問であり、6つのベンチャーファンド設立を経験しており、技術の構築と既存の大手多国籍テクノロジー企業との協業に関して豊富な経験を持っている。

出典:crunchbase news